昭和49年から本格的に牛を増やし始め、生まれ育った山古志の地で30年以上牛飼いを続けてきました。これまで200頭近くの出産にもたちあってきましたが、命が誕生する瞬間は何度経験しても新鮮で、どれも忘れがたい感動的な思い出ばかりです。
生まれた命を育んでいくという意味では、私の子育ても牛飼いも同じくらい大切なものなのです。
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数年前の中越大震災の時には牛舎も大きな被害を受け、家族だけでなく牛までもがヘリで運ばれ、住み慣れた山古志からの避難を余儀なくされました。しばらく故郷を離れていた間は、山古志で見て感じてきた風景や人の温かさを想うたびに、必ず山古志に帰りたいという気持ちをもち続けてきました。
そんな経験があったからこそ、改めて雪どけの春を愛でる心や、ブナの新緑の美しさをより一層深く感じることができるようになったと思います。
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